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2024-04-02

255.米ドジャース・大谷選手・水原元通訳違法スポーツブック賭博疑惑(2)

日本人はエモーショナルな民族で、日本の代表的なスタースポーツ選手が悪事に手を染めるわけが無い、周辺にいる人が悪い、騙されたに違いないと一端思い込んでしまうとこれが事実に違いないと判断する性向がある。
マスコミは基本的にこのシナリオに沿って行動している。
事案発覚、大谷選手による記者会見による釈明後、TV等は否定的な情報は一切封印し、開幕シーズン当初の大谷選手を持ち上げる番組のオンパレードになってしまった。
日本国民全員が大谷ファン、大谷は単なる被害者という見立てである。
ところが日本の報道は殆ど触れないのだが、本場米国のマスコミ、SNS、ニュースPod等は必ずしもそうではない。
大谷選手による一方的な説明では不十分、まだ説明されていない事項が多いとして、100%納得していない報道陣やマスコミ情報の方が多い。
日本のマスコミは、この事実を公平に伝えていない。
日本のSNSでは米国報道として、大谷選手説明は信用したい、だが・・という後半を無視し、前半のみを大きく取り上げ、米国でも大谷選手は信用されている等という偏向報道があった位だ。
勿論これは単純に大谷ファンが流しているSNSで報道とはいえないのかもしれない。

この混乱は関係当時者の発言が、ころころ変わり、何が事実なのか、何が起こったのかという状況が一切説明されていないことがその理由になる。
この点、米国のマスコミは首尾一貫している。
問題は①水原元通訳によるドジャーズ危機管理担当官同席の下に行われた90分間という異例なほど長時間のESPNとのインタビューと翌日の球団・大谷選手側の説明が全く異なること、②鍵となる50万㌦の9回(?)にわたる大谷選手個人銀行口座からブックメーカーへの送金行為は、誰がどう行ったのかの説明が球団・大谷選手側から一切ないこと(勿論一部経費の決済権限を通訳兼マネージャーでもある水原元通訳に委ねていたということもありうるし、何らかの事情で送金に必要な個人情報を与えていたということもありうるが、これを説明しないということは、潜在的な捜査の機微に触れるからだろう)、③そもそもブックメーカーは一介の通訳になぜ巨額の信用取引を認めたのか。
大谷選手が裏にいることが前提として進められた取引ではないのか、この事実を長期間に亘り、大谷選手は本当に知らなかったのか、④例え大谷選手が関与していなくとも、賭博の借金とは、ある程度返済が現実に行われない限り、違法ブックメーカーであろうと継続して巨額の与信を積み上げるということはしない(回収不能となるリスクが高まるからだ)。
大谷選手口座からの送金でESPN記者が証拠として確認したのは2023年9月と10月の分の2回のみと言われるが、かなり前より何回にもわたり支払いがなされていたようだ。
長期に亘り、この事実を全く知らなかったということはありうるのだろうか、⑤「カリフォルニア州で違法だったとは知らなかった」、「賭博では一回も勝ったことはない」、「野球賭博は絶対していない」、「やったのは海外サッカー、国内バスケ、アメフト」等いずれも水原元通訳による記者インタビューでの発言だが、これらは全て信憑性に欠ける。
大谷選手の関与を断ち切るためには実態はどうあれ、こう釈明せざるを得なかったのだろう。
もし巨額の賭博負債を抱え、この返済に四苦八苦していたとすれば、最も確実な借金返済の手法は海外サッカー等で勝つことを期待すること等ではなく、自分が熟知している野球を対象にした賭博に賭けるしかない。
内部情報を提供するだけでも借金の肩代わりになる。
勿論これをしたことをほのめかしただけで、大谷選手のMBL規約上の責任が問われかねないことを知った上での発言なのかもしれない。
大谷選手は表面的には当面セーフだろう。
但し、本来釈明すべきことを説明しないということは、やはり当面公言したくない事情を抱えているということだ。
その内容次第では、問題は更に増幅しかねない。

連邦政府が違法ブックメーカーに絡んで資金の流れの捜査に入っていることが確認されているが、捜査の対象と内容がどこまで進んでいるのかの情報は開示されていない。
水原元通訳も違法賭博への参加は州法違反だが、連邦政府の捜査対象ではあるが、確固たる犯罪の嫌疑がかけられているようにも思えない。
もっとも球団・大谷選手側が主張している様に水原元通訳による窃盗・横領を関連当局に委ねたとなると、州警察が犯罪容疑で新たに捜査に動くのかもしれない。
但し、どの当局に何を訴えたのかという情報は不思議な事に開示されていない(州警察当局は沈黙したままだ。
金を盗まれたと主張するならば、如何なる法的手段をとったかを非開示とする理由は理解できない。
あるいは窃盗・詐欺の事実経緯を検証できず、まだ行動していないのかもしれない)。
ESPNがこの事実を執拗に確認しようとしているが未だに状況は不明で、この曖昧さが裏に何かあるという懸念を生んだことは間違いない。
被害者が訴えなければ、何も進まないからだ。

ところで肝心の水原元通訳は一体どこに隠れているのであろうか。
逮捕状がでているわけでもないため、どこにでも移動できる。
問題が発覚した当日に選手団とは別に帰国したのであろうか。
いまだ韓国?いや日本に移動し、潜伏中という情報もあるが疑わしい。
但し、内国歳入庁(IRS)犯罪捜査局や国土安全保障省も調査に動いているとすると、米国再入国時点で捕捉されるし、帰国しているとすれば既に連邦政府の庇護?下にあり、捜査の対象になっているのかもしれない。
カリフォルニア州では違法賭博への顧客としての参加は微罪だ。
MBL内規違反は、犯罪ですらない。
一方、資金回りでサイバー犯罪や金融犯罪に関与していたとなると連邦法で重罪、窃盗・詐欺になると州法で重罪になってしまい、事は重大だ。
長期間に亘り身を隠していること等不可能だろう。
もし窃盗・詐欺で告訴され、容疑が固まり、関連州政府当局が本気で動き出すとすれば、観念し、現れるのかもしれない。
但し、そうなるかどうか。
なるにしてもどの位の時間が必要かは見えてこない。
これが動き出す段階でこの事案の第二幕が開くことになりそうだ。

(美原 融)

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