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2021-05-26

93.カジノ管理委員会規則案:⑬カジノ免許審査(法41条)と契約認可(法94・95条)

IR整備法第41条はカジノ免許付与の基準等を定義するが、三号に「出資、融資、取引その他の関係を通じて申請者の事業活動に支配的な影響力を有する者が十分な社会的信用を有する者であること」とする規定がある。
免許申請者(一号)、その役員(二号)、その主要株主等と役員(四号)のみならず、出資、融資、取引等でカジノ事業者と密接にかかわりうる主体に対しても十分な社会的信用を有することを求めていることになる。
「社会的信用を有する」とは暴力団との関係の有無、法令遵守状況・社会生活における活動状況、経済的状況、他者との不適切な社会的経済的な関係の有無等を総合的に勘案し、不正又は不誠実な行為を行う恐れが無いと認められることの様だ(「カジノ関連機器等製造業等の許可等及び指定試験機関の指定等に関する許認可等の処分に係る審査基準」)。
要はカジノ事業者のみならず、かなり幅広く周辺の関連主体の清廉潔癖性迄確認することになる。
では「支配的な影響力を有する」とは何かに関しての判断基準や審査基準はどこを探しても見つからない。
こちらの方は、何等かの判断基準が今後示されることになるか否かは不明である。
この法規定に基づき、カジノ管理委員会規則案第八条はカジノ免許を申請する主体が提出すべき申請書類の内容を規定するが、その第7項は申請者に対し「出資、融資、取引その他の関係を通じて申請者の事業活動に支配的な影響力を有する者が別記第十号書式(法人にあっては第八号書式)による質問票に必要な事項を記載したもの、その記載内容を証する資料、別記第十一号様式による同意書その他法第39条の免許に係る審査に必要な書類の提出を求めることができる」とのみ規定している。

これだけでは申請時点で一体何をどう準備すべきなのか全く解かり難い。
「支配的な影響力を有する」とは何か、判断基準は示されていない。
「求めることができる」とあるのは、如何なる場合、要求されるのかも不明である。
提出の要否はカジノ管理委員会の判断になるが、その判断基準や審査基準、審査、認可の手順や時間的要素が全く解らない。
要はこの規定は大きな網をかけているようなもので、如何様にも解釈できるようになっている。
カジノ免許申請行為も単純に一回書類を出せばよいというプロセスではなく、かなり時間をかける審査手順として、審査期間中に必要とされる追加資料の提出を要求されるのかもしれない。
必要と判断した書類等は、後刻いつでも、どのレベルまでも要求できるという前提を取る場合、法第41条を根拠とし、申請後、審査期間中を含み、カジノ管理委員会はあらゆる主体の廉潔性をチェックするための書類(10号、11号様式並びにこれを証する資料)を後刻要求できるという論理は成立するのかもしれない。
この場合、明確な記載はないが、カジノ免許申請前後に締結される融資契約や設計建設請負契約の契約主体に係る「社会的信用」の確認は審査対象になり、十号、十一号書式の対象になりうるという解釈になる。
勿論これは規則八条7項に基づき「申請者の事業活動に支配的な影響力を有する」ことが前提となるため、「支配的な影響力」に係る判断基準・審査基準次第ということであろう。

興味深いのは、上記の根拠は法第41条にあることだ。
即ちカジノ免許申請行為に関し、申請者との関係における第三者の社会的信用度の審査になる。
即ち、これ自体は法第94条、95条に規定されている(カジノ事業者の)「契約締結の制限」、「契約締結の基準」と直接的な関係を見出すことは難しい。
第95条は「契約認可」に関する規定で、カジノ事業者は同条1項に記載された契約を締結・更新・変更しようとするときは、カジノ管理委員会の認可を必要とすることを規定し、第2項は認可を受けないで締結した契約はその効力を生じないとある。
規則案(第六款)は契約の認可・届出等に関する詳細規定になるが、内容的にはカジノ免許取得後における事業者としての契約締結を規定していると判断され、カジノ免許申請時点における(社会的信用度に関する)審査とは異なるように見える。
申請時点ではカジノ事業者ではなく、認定設置運営事業者でしかないこと、この段階で第三者との契約締結に係る認可申請、認可行為があるとなると表現的に矛盾すること、認可が無ければ契約は無効となるが、カジノ免許取得前の既存契約を無効にする法規定はないからである(勿論免許不交付という手段はある)。
上述した通り、申請途上における契約は廉潔性の検証という目的で規制当局の調査・審査の対象となり、その契約も全て調査されるのだろうが、これは廉潔性の調査であるべきで、内容の調査、契約の認可審査ではないはずだ。
よってこの場合には、契約の認可行為や契約の無効は宣言できないはずと考えたがどうであろうか。
勿論問題有りと判断した場合、理論的にはカジノ免許を交付しないとすることはできる。
尤も治癒可能な周辺契約の主体の問題を理由に免許付与自体を拒否するということは理論的にありえても、合理性には欠ける。

問題の根は法や規則には記載がないが、避けて通れない実務的事項が存在することにある。
IR整備法並びにその規則案には時系列的な免許申請の事務手続きの記載は全くないが、米国のようにこの事務手続きを、論理的整合性をもって新たな規則ないしはガイドラインとして策定すれば問題は解決しうる。
各々の段階で何がなされるか、要求されるかを書かざるを得なくなるからだ。
免許審査・調査がかなりの長期に亘り、継続的に行われることを前提にする場合、とうしても時間と手順双方にギャップが生じ、申請審査段階にて締結せざるを得ない諸契約の取り扱いや規制当局が関与せざるを得ない事象等(例えば融資金融機関による担保の設定・執行に係る規制当局による事前許可の取得等の取り決めの必要性等)が必ず生じてしまう。
何等かの対応策や解決方法は考慮できるだろうが、柔軟な実務的対応が必要になるといえる。

(美原 融)

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