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2025-11-24

339.ゲームと賭博⑧:Free to Play(F2P)Sweepstake Casino①

Sweepstakeとは「おまけ」とか「懸賞」という意味になり、一定期間の間、商品を購入すると何らかのおまけがついてくるという一種の販売促進施策になるものだ。
これが時にして社会問題になることがある。
最近の例では2025年夏におこったマクドナルドのおまけ問題だ。
2025年8月9日〜11日の三日間に亘り、マクドナルドはハッピーセット購入者に限定ポケモンカード(ピカチュウなど)を配布。
これが SNSやフリマアプリで話題沸騰し、景品目当てで大量購入されたハッピーセットの食品部分が食べられずに廃棄されたため、問題となってしまった。
カードに関しては高額転売が横行し、一部店舗では配布初日でカードが品切れとなり、景品目当てで大量購入されたハッピーセットの食品部分が食べられずに廃棄されるケースが続出するという有様である。
食品ロス・おまけカードの高額転売・消費倫理・企業責任など、複数の現代的課題が絡み合った深刻な事例になり、マクドナルドはこのおまけの早期終了と謝罪に追い込まれたという結末になった。
このように何が入っているかわからないおまけやレアなアイテムがおまけとしてついてくると、SNSで過剰な人気がでて、異常な消費者心理が働いてしまうことがおこりうる。
ハッピーセット等を食べるよりおまけのカードを集めることが目的化してしまうわけだ。
このおまけとして無料でもらえるという行為が消費者に誘引を与えるという点に着目し、無料でゲームを提供し、そのおまけとしてもらえるゲームのみに使えるコインや勝ったときの報酬としてついてくるコインを利用することで、このゲーム自体を賭博類似行為へと誘導する仕組みが米国では爆発的な人気を呼ぶことになった。
これをSweepstake Casinoと呼称している。
Casinoと呼称してはいるが、表向きは無料で参加できるスロットマシーンやテーブルゲームで遊べる一種のSocial Gameといったところだ。

遊び方としては、サイトにアクセスし、一端個人情報を登録し、自分の勘定を作ると無料で遊ぶための仮想コイン(Gold Coin)を取得できる。
勿論このコインには金銭的価値が無く、単に遊びのツためのツールにすぎない。
無くなればゲームはできないが、ゲームに勝てば、コインを取得できる。
また一定時間経過し、再度サイトにアクセスするとまたこの仮想コイン(Gold Coin)を取得できる(アクセスボーナス)。
もっと遊びたい人はこのコインを別途購入することもできる。
もっともこのGold Coinに金銭的価値はなく、Gold Coinが貯まっても現金や賞品に交換できるわけではない。
尚、追加的に現金でGold Coinを購入するとおまけとして別の種類のコインがついてくるのだが、これをSweepstake Coinと呼称する(Sweepstakeとはおまけという意味あいだ)。
何と二つの仮想通貨が存在することになる。
このSweepstake Coin自体も金銭的価値はない。
Gold Coinで遊べるサイトはFree Play Mode(無料で遊べるモード)と呼称されるが、面白いのはSweepstake Coinだけでしか遊べないPromotion Mode(宣伝用プロモーションモード)ないしは Premium Mode(プレミアムモード)のサイトが併設されていることだ。
Sweepstake Coinをためてこのサイトで遊び、勝つとSweepstake Coinが貯まり、このコインは賞品(ギフト券)ないしは現金に交換することができるという巧妙な仕掛けになる。
(但し償還下限があり、通常50 Sweepstake Coin以上貯める必要がある)。
この他、友達を紹介したりするとプロモーションボーナスとしてSweepstake Coinをもらえたり、トーナメントに勝てば賞金としてSweepstake Coinをもらえたりする。
これが爆発的な人気を呼ぶことになった。
面白いのは登録し、無料で遊ぶ場合、一定期間毎にGold Coinと共にほんの僅かのSweepstake Coinをもらえるサイトもあることだ。
サイトにもよるがこれは1000対1程度でしかない)。
一方もっと遊びたいとして現金を支払いGold Coinを購入する場合には、パッケージボーナスとしてSweepstake Coinをもらえる。
この場合の現金支払い額とSweepstake Coinとの価値の比率は何と1対1が相場の様だ(即ち例えば$30 で10万のGold Coinを買うと、ボーナスとして$30相当額のSweepstake Coinをもらえる)。
なんのことはない。
こうなるとGold Coin等無視して、Sweepstake Coinを取得することが目的化しかねない。

要は無料で遊びたい人は無料の通常のモードで遊ぶだけなのだが、様々な仕掛けでSweepstake Coinを集める誘引が存在し、これを集めることができれば、一種の広告宣伝用のサイト(プロモーションモード)で遊べ、そこで勝てばこのSweepstake Coinを賞品あるいは現金に交換できる。
通常のゲームとしての表の無料カジノサイトは何らの規制も制約もなく提供されるのだが、おまけとして無料で遊べるSweepstake Coinを集めれば、広告宣伝用のサイトで、通常のオンラインカジノサイトと同様に遊べ、かつ勝てば賞金か現金を取得できる。
これでは無料のゲームサイトというのは単なるごまかしで、違法なオンラインカジノとどこが違うのかという意見がでてくるのは当たり前になる。
このSweepstake Casinoが市場にでてきたのは2016年頃になるがモバイル手法の段階的発展により、爆発的な人気を呼んだという経緯がある。
今や2023年レベルでの米国の顧客は推定100万人、同年のハンドルは100億㌦に達したといわれている。
この人気は米国ではオンラインでのカジノタイプのゲーム(iGaming)を制度化したのは2024年時点で僅か7州に過ぎず、未だオンラインカジノが広範囲に認知されているわけではないという事情と関係している。
Sweepstake Casinoのゲームの仕組みと遊び方自体はオンラインカジノと殆ど変わらないのだ。
よってオンラインカジノを認めていない米国の州で、単なるSocial Gameの一つに過ぎないという形で、実質的には賭博行為に限りなく近い遊びを提供することで、かなりの人気を集めるという結果になってしまったわけである。
金を賭けるわけでもなく、表面的には無料で気楽に参加できる。
勝ち進めば賞品もあるし、現金化もできる等の側面が、賭博とはいえないが、賭博に限りなく近い側面があるゲームとして米国の若い世代の人気を呼んだということになる。
これが2024年以降米国内で喧々諤々の議論を呼び起こすことになる。

(美原 融)

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