2025-12-01
340.ゲームと賭博⑨:Free to Play(F2P)Sweepstake Casino②
Sweepstake Casinoとはなんともはや一見複雑な仕組みだ。
ゲーム内でのみ使える仮想通貨(Gold Coin)を用いて無料で遊べる無料モード(Free Play Mode)のサイトとおまけとしてもらえる別の仮想通貨(Sweepstake Coin)を使い遊べるプロモーションモード(Promotional Mode)の二つのサイトが並列して存在するが、巧妙にこれらを分けている。
前者は単純な無料ゲームの世界だ。
一方、後者はおまけとしてもらえるSweepstake Coinが無ければ遊びに参加することもできないが、このゲームでは勝てば価値あるギフトや現金を取得できる。
確かに顧客がGold Coinを製品として購入するのはこれを用いて無料サイトで遊ぶことが本来の目的だ。
プロモーションモードへ参加するためにSweepstake Coinを取得することではない。
Sweepstake Coinはあくまでもおまけとしてついてくるだけで、このおまけを集めてプロモーションモードでゲームに参加すると賞品や現金を獲得できる仕組みなのだ。
但し、目的が反転し、プロモーションモードで遊ぶことが目的となってしまう場合、賭博行為をすることが隠れた目的になりかねない。
これでは単純に賭博行為を偽装するために無料ゲームを用いているだけではないのかとか、果たしてこれは実質的に賭博行為ではないのか、合法といえるのかという議論は米国内でも既に存在する。
過去米国では様々な州、特に南部諸州で2010年頃からSweepstake CaféとかInternet Caféというビジネスモデルが流行ったことがある。
実は上述のSweepstake Casinoはこれに極めて類似的な側面がある。
このSweepstake CaféないしはInternet Caféのモデルとはコンピュータ端末が設置されたカフェでネットサーフィンに一定時間端末を借りたり、この場所で長距離電話カードを購入したりすると、おまけとしてSweepstakeポイントをもらえる。
このポイントを用いてカフェの端末から特定のサイトにあるスロットマシーン等で遊ぶことができる。
勝てばポイントを増やし、その場でこれを現金化できるという仕組みだ。
モノの売買行為を表面的に絡ませて、おまけをつけることで、このおまけを使って、スロットマシーンをやらせているだけにすぎず、賭博行為を偽装しているだけではないかという批判が強くなることになった。
その後一部の州が明確に禁止措置を法律で定めたり、様々な裁判判例や州司法省等の違法見解もでたりし、これは偽装された賭博行為で、免許無しの違法行為になるという解釈が全米中で定着した。
この結果、この仕組みは途絶えたのだが、別の形態をとってまたぞろ似たような仕組みが生まれてきたということになる。
但し、携帯を用い、手軽に、いつでもどこでもできるという点は大きく異なっている。
おまけを利用し、賭博行為をさせるという行為に関してはSweepstake CasinoはInternet Caféに似ているとはいえ、全く同じではない。
無料の世界のみで遊ぶ限りにおいて、これは単純な無料スマフォ・ゲームでしかないからだ。
法的にこれをどう位置付けるのかに関しては様々な見解が存在し、明確な共通的考えは必ずしも存在していないのが実態になる。
このSweepstakeの仕組みを活用するゲームの提供行為をSweepstake Business Modelというのだが、米国ではカジノタイプのゲームのみならず、全く同じ手法で何とスポーツブックも提供されている。
オンラインカジノ(iGaming)やオンラインスポーツブックが未だ合法化されていない州の州民はこれらSweepstakeのサイトを利用することが、新しい趨勢として市場に段階的に定着し、その拡大に寄与してきた。
遊び方は賭博サイトと殆ど変わらない。
無料で参加でき、現金を賭すわけでもない。
無料でもらえる金銭価値のない仮想通貨で遊んでいるだけだが、別途おまけとしてもらえるSweepstake Coinを使って遊べばギフト券や現金を取得できるゲームとなり、これは賭博とは異なる仕組みだという庶民の認識が高まったことが、流行となった一因でもあろう。
友達を誘ったり、友達と競争したりすることも可能で、ゲームの種類も多く、スマフォで遊べるためデジタルプラットフォームに適合しやすい仕組みが若い世代に受けたのかもしれない。
一方州政府や賭博規制機関からすれば、実態は賭博類似行為に限りなく近いゲームなのだが、制度的には位置づけもはっきりせず、グレーな議論を呼ぶゲームになってしまう。
単なる無料のゲームでしかないではないかと主張されれば、現状では規制・免許の対象外となる。
課税対象にもならず、消費者保護やAML対応施策もなく、若年層世代に深く食い込んでいることも問題視されるようになってきた。
年齢確認も本人確認手続きも何もないのだ。
こうなってくると果たしてこれはいかがなものかという議論がでてくるのは当然だ。
この結果、一部州では事業者を相手取って様々な訴訟案件が生じてきたと共に、一部州議会では、州法を改正し、これを禁止する立法措置を取る動きが生じてくることになった。
ミシシッピー州では2024年Sweepstake casino禁止法案(SB250)が可決・成立し、これを禁止する最初の州となった(免許の無いオフショアオンラインカジノの一つとして、1972年賭博関連法を改正し、禁止の対象とし、その運営・プロモーションは重罪で禁固10年かもしくは10万㌦の罰金刑となる)。
その他コネチカット州(SB1235)、モンタナ州(SB555)、ネバダ州(SB256)、ニュージャージー州(A5447/SB4282)、ニューヨーク州(S5935/AB6475)でも同様の法案が2025年に可決し、成立した。
もっとも最近の事例は2025年10月のカリフォルニア州(AB831)になり、全米で6州が法的な禁止措置をとったことになる。
その他にも禁止法案を検討しつつある州も多く、この動きは全米に広がる可能性もある。
(美原 融)