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2025-12-22

343.金融デリバテイブと賭博:迷走する?米国商品先物取引委員会(CFTC)

米国商品先物取引委員会(CFTC)は予測市場(Prediction Market)を規制する合衆国の機関だがその委員長は大統領指名職でもあり、指名後連邦議会上院で認証を受ける必要がある。
当初委員長に指名されたBrian Quintenzは上院公聴会もミスなくまくかわし、これはそのまま承認かと思われたのだが、事業者Kakshiの役員であることや様々な利害相反の疑いが懸念として残り、承認のための委員会は延期され、その後も開催されることなく会期末となった。
おまけに大統領の大手資金寄付者であるCryptoのオーナーが彼だけはダメと大統領に告げ口し、ホワイトハウスは指名を取り消す有様だ。
10月になり新たな指名を受けたのはSEC高官でSEC暗号資産タスクフォースの首席弁護士であるMike Seligだ。
クリプト推進派で予測市場にも好意的、いかにもトランプ好みの人事案だ。
公聴会では予測市場におけるゲーミングは法の解釈の問題も絡み複雑な課題であるとし、CFTCとしては裁判所の判断、あるいは連邦議会による法による明確化次第で、いずれの決定にも従うとし、自らの立場につき一切明確なコメントをせずうまく逃げている。
勿論彼は仮想通貨、予測市場に関しては積極派で、当面CFTCとしては何もせず事態を放置するということなのだろう。
11月20日上院委員会採決(12対11即ち共和党全員賛成、民主党全員反対)を経て時間の問題で上院本会議で認証される。
CFTCも委員は次々と辞任し、今残っているのはトランプに指名されたCaroline Pham代理委員長1名のみだ。
彼女も新委員長の承認後、直ちに辞任することを表明している。
というとこは当面委員長1人のいびつな国の機関になりかねない。
その他の委員の任命はどうなるのかはこれからの議論の様だ。
一方DOGEによる公務員削減方針でかなり職員数も減らされており(699人から550人に)かつ2ケ月以上にわたる連邦政府閉鎖中は事務所は閉鎖され、規制機関として機能していなかったという有様だ。
CFTCは今後の成長分野である仮想通貨やイベント予測等の新しい分野の規制機関となるのだが、果たして現状の体制で機能するのかと疑問視する声もある。

尚9月30日にCFTCの事務局はDCM、DCO、FCM、IB(いずれも市場類型の呼称)等の予測市場参加企業に対し、注意勧告(Advisory Cautioning)を発出し、スポーツイベント契約に関し,初めて公開の場で意見を述べている。
もっとも是非の議論をしているわけではなく、当事者としてではなく外部から見た上での見解という自分のポジションを明確にしないものだ。
州政府と事業者間の係争の進展に留意し、状況次第でスポーツイベント契約は終了せざるを得ない可能性もあり、十分なコンテンジェンシー計画やリスク管理に留意すべしという内容でしかない。
どう考えても規制当局が発する見解とも思えないが、一つの問題に国と州の二つの権限主体が関与していることを前提とした議論になっている。
これでは係争の重要焦点であるCFTCが連邦商品取引法により独占的優越権(Exclusive Preemption)を保持するという考えを否定しかねないポジションをとっていることになりかねない。
市場が大きくなりすぎ、CFTCとしても何等かの対応を迫られたのであろうが、自分たちで最悪の事態に備えろといっているにすぎず、スポーツイベント契約を規制機関としてどう判断しているかの自らの考えは開示していない。

何と偶然同日になったが、今度は超党派の連邦上院議員6名(5州)が漣著し、CFTCの委員長代行に対し、公開質問状を発出するという手段をとった。
これは歴史的に州政府・部族の権限に属するスポーツ賭博をCFTCが内在的に認めてしまっていること、スポーツ賭博をイベント契約の一部として州法、部族関連法に違反し、全米においてかかる行為を認めていること、ゲーミングを含んだり、公益に反したりするイベント契約は規則上明確に禁止の対象であること、これらに拘らずCFTCは不適切にイベント契約の名の下でゲーミング賭博を認め、監督下においていること、これら行為並びにこれら行為をやめさせないCFTCは連邦法の趣旨と矛盾するとし、州政府部族政府の規制管轄権を損ね、誰もが望まないゲーム賭博の連邦化に繋がるとしている。
イベント契約をどう法的に位置づけるのか、法をどう執行するのか等11の質問を出し、10月末迄に回答する旨要請した。
CFTC委員長代行の回答は11月に開示されたが、法の手順や考え方を述べたのみでDCMは現行法に基づき合法に運営されていること、自己証明されたDCM(既に2012年以降2393もある)の規律や監視はCFTCの内部機関がしっかりと行っていること等表面的な回答ばかりだ。
ここでも係争事由になっている以上、司法の判断に委ねること、あるいは議会により明確な制度解釈規定を委ねることが肝要とし、自らの立ち位置に関しては一切言及していない。

予測市場は認定事業者による自己認証(Self-certification)により、事業者の判断ですきかってなことができ、かつ規制者たるCFTCは全てこれを黙認し、やりたいままにさせているのが実態だ。
この結果予測市場の名の下のスポーツ賭博は急速に拡大しつつあり、様々な異業種主体もこの分野に参入しつつある。
司法手続きに時間がかかる間に既得権益を拡大し、Too Big to Failの状態を作り、業務を単純に停止できないようにしつつある戦略かもしれない。
尚、大統領の息子Jrは何と大手KalshiとCryptoの二社から報酬をもらう特別顧問だ。
10月にはトランプ所有のTruth MediaがCryptoと連携し、予測市場に参入するというニュースが流れた。
こうなると大統領が予測市場の主催者になり、直接の利害関係者になってしまう!州政府と事業者の係争は5州各々の係争になり、内二つは既に連邦控訴審迄上がっている。
情勢判断としては州政府が有利な状況の様に思える。
但し、連邦最高裁ではトランプのいうことには反対しない裁判官が過半数を占める。
最高裁がどっちにつくかは見物だが、大統領側につけば、法の秩序もへったくれもあったものではない。
こうなると大混乱に陥るが、大統領は気にもとめないのかもしれない。
司法や法秩序等無視してしまうのがトランプ大統領の今までの行動だからだ。
今や米国はありえない事が起こりうる国でもある。

(美原 融)

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