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2025-12-08

341.ゲームと賭博⑩:Free to Play(F2P)Sweepstake Casino③

Sweepstake Casinoを賭博とみなすか単純なゲームとみなすかは、賭博の三つの構成要件(僥倖、賞品、賭ける金銭と対価への期待~Consideration~)の中で果たして、Sweepstake Business ModelにはConsiderationはあるのかが最大の論点になる。
無いと判断すればこれは賭博ではない。
単なるゲームになってしまう。
あると判断すれば賭博行為になってしまうのだが、過去の様々な米国内部での類似判例でも見解は分かれ、これをどう扱うかは米国でも州毎に異なるという状況が続いている。
これらゲームを提供する業者の主張は、ゲームの中でしか使えない仮想通貨(Gold Coin)を商品として売却しているだけで、おまけとして無償で付与するSweepstake Coinを用い、別のプロモーション用サイトで顧客が遊び、勝った場合には賞金として顧客にギフト券や現金を提供しているだけで基本はおまけでしかないというものだ。
更にはゲーム自体への参加は無料で、参加料も賭け金等も一切ないという建前になる(要はタダで遊べる)。
仮想コインの売買行為を介在として、ゲームと賭博を意図的に分離させているとみることもできるかもしれない。
尚、おまけを介在として一種のゲームに参加させるということは一種の販売促進手法の一つとして他の産業でも行われている。
米国での典型的な例がマクドナルドのモノポリーキャンペーンだ。
ポテトフライを買うとゲームサービスラベルがついてくる。
これを集めたり、交換したりして賞品を得る遊びで一種の販売促進策だ。
顧客に対しおまけを付与しているのだが、顧客への還元は全体の売り上げからしてみるとほんの僅かでしかない。
無視できるほどの顧客に対するおまけとしての還元になる。
一方、Sweepstake Casinoの場合には売り上げの80%から96%が顧客への賞金として還元されている。
顧客にとってのリターン(RTP return to player)としてみると、賭博行為に限りなく近くなる。
これをどう見るかは意見が分かれるところだ。

米国の一部の州では(明示的な禁止規定がある、なしに拘らず)既存の賭博法規定を根拠とし、このビジネスモデルを排除する動きを段階的に取り始めつつある。
ミシガン州規制当局(GCB)は極めて厳格なスタンスをとり、Sweepstake Casinoは免許を取得してない違法賭博行為でしかないとして2024年11月/12月に複数の事業者に対して事業撤退・退去命令(Cease and Desist Order)を出し、州内での営業を禁止させる措置をとった。
コネチカット州規制当局(州消費者保護省)も2025年3月に免許無しに違法に賭博行為を提供したとして複数の大手事業者に対し, 事業撤退・退去命令を発出すると共に、従わない場合は刑法上の罪を適用することを公表した。
ネバダ州、ニュージャージー州の規制当局は単純に現実世界の現金と交換できる仕組みである場合は賭博で、そうでなければ規制外のゲームとし、Sweepstake Business Modelのような中途半端な仕組みは一切認めないというやはり厳格なスタンスを取っている。
あるいは規制当局ではなく州政府の司法長官が同様の警告を関連事業者に出す州も出てきつつある(アリゾナ州、西バージニア州)。
制度的に規制ないしは禁止を試みる州は今後共増えつつある。

禁止というスタンスをとった州の立ち位置は、Sweepstake Casinoは賭博の類似行為になり、免許を取得せずかかる行為を担うことは明確な州法違反。
かつ税金も払わず、既存の賭博事業者の権益を侵害し、未成年等の社会的弱者に対してもサービスを提供し、悪影響を与えているということになる。
カジノやスポーツブックの業界団体である米国ゲーミング協会(America Gaming Association)は2024年8月に連邦政府や議会、各州規制当局に対し、意見書を提出、これを公表したが、規制・監視の無い仕組みは消費者にとり危険、既存の正当な賭博事業者の権益をも損ねるとして、かかる業態が各州の法制度に準拠しているか否かの精緻な検討を要請し、問題ある場合は適切な措置をとること、法制度自体が明確でない場合には、やはり適切な立法措置をとることにより法のループホールを防ぐ必要性を指摘している。

ややこしいのは、これらのSweepstake Business Modelの大手事業者の一部は必ずしも米国企業ではなく、オフショアからサービスを提供していることにある。
例えば大手のVGWは様々なブランド名、スキン名でSweepstake Casinoを提供しているが豪州に本拠をおき、同国にて免許を得た海外事業者になる。
こうなるといくら州政府レベルで規制、営業停止・禁止といっても法の執行は極めて難しくなる。
但し、実態としては違法事業者は何らかの禁止措置が取られた場合、当該州の市場から撤退する選択肢をとる事例が多い(Geo-locationブロック機能を用い、当該禁止州の州民はサイトにアクセスできないようにすれば、事業者の任意行為として一部州市場から撤退することはいとも簡単にできる)。
大手事業者の中には自主的に一部州からの事業撤退を宣言している(例えばアラバマ州、西バージニア州、メリーランド州、モンタナ州、ネバダ州、ケンタッキー州等での対応等だ)。
もっとも州毎に制度や事情が異なるため、一つの州で禁止されても、他の州でやればいいということになり、オンラインである以上、取り締まりも効果的ではない側面も生まれている。
いずれのサイトも未成年は参加禁止とうたってはいるのだが、成人であるというチェックマークをクリックし自己申告すれば誰でも通ってしまうというのが現実だ。
これでは未成年も参加できてしまう。
大手のHigh 5 CasinoやWow Vegas等は日本からでもアクセスでき、電子メールや住所等を登録すると日本人もこれら様々なゲームを楽しむことができる。
こうなると本人確認もへったくれもない。
英語の画面だが、スロットマシーン等は単純で、子供でもゲームのルールはわかってしまう。
賭博とゲームの中間領域に存在するこれらSweepstake Casinoのサイトは米国でも大手だけでも50以上も存在し、米国のみならず、諸外国においても人気は高く一大潮流となっているのが現実だ。

(美原 融)

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