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2026-03-02

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353.米国スポーツイベント予測市場の動向①

米国商品先元取引委員会(CFTC)新委員長Seligは1月29日に所信をさるイベントで公開し、CFTC自身がスポーツイベント予測市場に関し、今まで以上に積極的なアプローチをすることを表明した。
即ち、①CFTCは合法的な技術上の革新を支援するという了解の下で、これを発展させるため、明確な規則を設けるべきタイミングであると認識する、②仮想通貨もイベント予測契約もこの意味では同じである、③2024年CFTCは政治並びにスポーツに関するイベント契約を排除する規則提案のパブコメを出したが、これを取り下げる、④2025年にCFTCの職員によるスポーツイベント契約に関する注意喚起勧告(Staff Advisory)がなされたが、これも全て取り下げる、⑤スポーツイベント契約に関し、複数の訴訟案件が連邦裁判所に提起されているが、これら訴訟にCFTCとして関与する可能性を検討することをスタッフに指示した、⑥イベント契約に関し、CFTCとしての明確な規則の素案を作成することもスタッフに指示したという内容になる。
全くのちゃぶ台返しなのだが、連邦議会で認証されるまでの慎重なスタンスを取り下げ、積極的にスポーツイベント予測契約を擁護し、新たな規則を設け、今まで沈黙を守り続けてきた連邦裁判所での係争にも積極的に関与するということだ。
トランプ政権としてイベント予測市場を訴えてきた州政府に対し、国の規制機関自身が表に出てKalshiを支援し、チャレンジすることになる。
大手事業者Kalshiにとり、現在様々段階の訴訟が21件存在する(内Kalshiが州政府を訴えた案件は6件、州政府・部族がKalshiを訴えた案件が8件、残り7件は個人がKalshiを訴えたものでこの内6件は集団訴訟になる)。
Kalshiの積極的な動きは、昨年1月トランプ政権発足以降のことだ。
政権の庇護を得て、既成事実を積み上げ、訴訟等はものともせずに市場拡大に突き進んできたのが現実だ。
何しろ大統領自身がTruth Socialでこの分野に自らが参入すると宣言している。
怖いものはないといったところだろう。
現実の下級審判決ではKalshiにとり不利な判決も出てきている。
CFTCは連邦法は州法を優越するという論拠で裁判に関与するのだろうが、複数の連邦控訴審では判決が異なってしまう可能性もあり、連邦最高裁の出番もありうる。
一方この分野での大御所Nelsonウイットモア大名誉教授によると、事案は確実に連邦最高裁迄あがり、現状のトランプ寄りの最高裁では差し戻しになり、Kalshiは生き延びて、更に数年以上法的闘争が続くのではという(彼は連邦最高裁長官とHarvardのクラスメート)。
もっとも混沌としたまた数年後には大統領も変わるかもしれないし!最高裁のメンツも一部変わる可能性も・・・

一方実際の市場は更に拡大し、かつ混乱の最中にある。
スポーツブックの三大大手事業者であるDraftKing、FanDuel、Fanaticsは昨年12月以降、スポーツイベント予測市場に参入した。
またファンタジースポーツブックの二大大手事業者であるUnderdog, Price Picksも同様に昨年以降スポーツイベント予測市場に参入している。
これではスポーツブック関連業界自体がスポーツイベント予測市場に組み込まれつつあるとする意見もある。
逆にこれを好機とみて、積極的にスポーツイベント予測市場に参入し、市場シェアを拡大しようとしたとみる方が正解だろう。
なにしろ、州政府毎の細かい規制の下でバラバラな州毎の運営を手掛けるよりも、全米を一つの市場とし、連邦政府の制度的枠組みの中でスポーツブックと全く同じものを提供できた方が当然有利でかつ費用も安いからだ。
DraftKingsとFanDuelは市場参入に先立ち、12月には申請中のネバダ州免許を取り下げ、賭博関連業界団体である米国ゲーミング協会(AGA)から正式に脱退した。
一方一部の州の賭博規制機関は、既に州内で州政府の免許を取得している事業者がスポーツイベント予測市場等違法な行為に参加する場合、既存のスポーツブック免許を剥奪することを表明している。
こうなるとどちらをとるかという選択肢になる。
果たしてどちらが優勢になるかはまだわからない。
このためDraftKingとFanDuelは当面州政府当局との更なる紛争を避ける配慮をとった。
DraftKing は全米38州でイベント予測市場に参入したが、自社がスポーツブックを提供していない州から始めている。
一方、FanDuelは昨年末やはり5州からスタートし、1月末時点で18州にスポーツイベント契約を広げたが、これを含む50州で展開しているのはスポーツ試合ではない予測市場商品としている。
確かにこれならば問題は生じない。
もっともこんな曖昧な状況が続くわけがない。
一方、予測市場の規制機関となる連邦商品先物(CFTC)は革新諮問委員会なる組織を2月に設け、予測市場大手企業、Draft King, Fan Duel等のCEO35名を委員として指名、連邦機関が制度のHarmonizationに動き出した感もでてきた。
今後の展開がどうなるかは微妙だ。
 
この他昨年12月から本年1月にかけて、金融プラットフォーム事業者(CME group)、仮想通貨事業者(Coinbase、Gemini)、分散型金融取引所(Cboe, Jupiter),暗号資産プラットフォーム(Metamusk、Phantom)、Social Game事業者(My Prize)等多種多様な金融・ブロックチェーン関連事業者が一斉にスポーツイベント契約市場に参入した。
誰もが一つのトレンドに乗り遅れまいとしているのだろう。
また大手企業のKalshiはCNBC/CNNとPolymarketはDow Jonesという具合にイベント予測市場とメデイア企業の連携が生まれている。
これはリアルタイムの予測市場データをメデイアのTV、サブスクチャンネルを通じて、利用者にアクセスさせ、将来のイベントの集合的な予測を洞察しやすくするための情報提供になる。
2月にはMLB(野球メージャーリーグ)のコミッショナーが予測市場とのパートナーシップを模索すると発言する有様だ。
既にNHL(ホッケーリーグ)とUFC(総合格闘技)は予測市場と提携・連携している。
プロスポーツ界もこれでは動揺する。

この様に、市場実態としては、混沌の中でスポーツイベント予測契約は拡大する様相を示している。
顧客にとってみれば差異はないのだ。
勿論スポーツイベント予測契約は州政府単位で現存するスポーツブック法体系と根本的に矛盾する。
さてこれがどう展開するのか、2026年中に連邦最高裁の判断迄にいくのか、あるいは連邦議会が動くのか、余談を許さない状況にあるともいえる。

(美原 融)

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