National Council on Gaming Legislation
コラム
  • HOME »
  • »
  • 373.イベント予測市場⑰:Mention Market

2026-07-27

373.イベント予測市場⑰:Mention Market

Mention Marketというのはイベント予測契約の一種で、例えば著名人がスピーチや演説をする場合、・・という単語をしゃべるか否か(Mentionするか否か)、・・の話題に触れるか否かという類の予測?商品になる。
こんなのは経済的価値はゼロ、ヘッジング等とも全くい関係なく、どう考えても単純な賭け行為であって、これが経済的なスワップ金融取引?という主張が通るわけがない。
かつ一人の行動に直接その結果が左右されるため、限りなくインサイダー取引や意図的に結果を歪める行為等を引き起こしやすいとされている。
必ずこの取引の題材となるのはトランプ大統領だ。
何しろ何をいうかわからない。
如何なる話題に飛び火するかも不明、テレプロンプターを用い、原稿を読んでいるのだが途中から原稿を逸脱するなどは日常茶飯事だ。
かかる事情は、市場から予測市場の恰好の題材とみなされることになる。
ぶったまげる事件が起きるのも常に大統領周辺だ。
7月にABCニュースとNYタイムズがすっぱ抜いたのは、十年以上に亘りトランプ大統領の演説テレプロンプターを運営してきた技師Gabriel Perezが、大統領のスピーチに関する予測市場の賭けで何と10万㌦を儲けたことが、FBIと連邦先物取引委員会(CFTC)の共同捜査で浮かび上がってきたことが暴露されたことだ。
プロンプターを操作する以上、予めトランプ演説の原稿を全て読み込んでいることは当たり前になり、何をしゃべるかは事前に熟知している。
こうなると、100%疑いのないインサイダー取引になる。
全く、こんなことやるのかねという印象だが、騒動が大騒ぎになり、さすがにトランプ大統領は遺憾を表明、ホワイトハウスは当人を休職扱いにし、その後解雇した模様だ。
この結果、ホワイトハウス報道官は職員が内部情報を用いて予測市場契約に参加することは禁止されていると記者会見で弁明する有様となった。
こういうことを平気で身内同様の周りのスタッフがやってしまうというのが現在の政権なのだろう。
トランプJrは似たような事をしかけてぼろ儲けしているのだが、誰もが問題視していない。
ファミリーが好き勝手なことをしている、皆がやっている。
ならば、自分がやっても問題にはなるまいと考えたのであろうか。

どうやらこの事案の端緒情報はKalshiが把握し、Kalshiの通報に基づき連邦先物取引委員会(CFTC)とFBIが動いたらしい。
もっともKalshiがおかしな取引として特定したのは3月で、その後調査がなされていたはずなのだが、なぜ事案がばれるまでこんなに時間がかかっているのかの事情は不明だ。
少なくとも10数回に亘り、違法な内部情報を知った上で取引に参加していたという。
Kalshiはこの顧客が勝ち金をキャッシュアウトする前に口座を凍結しており、実際に勝ち金は支払われていない模様だ。
またKalshiは類似事件を未然に防ぐためのEmployment Verification Checkを今後導入することを検討すると公言し始めた。
顧客の雇用主や雇用関係をチェックし、関連しうるイベント予測契約に係る内部情報を知りうる立場にあるかどうかを事前にチェックし、当該対象者を排除するということの様だ。
果たして実効性のある仕組みかどうかは疑わしい。
直接的な本人ではなく、家族、友人等とぐるになり、内部情報を回してしまえば、単純には露見しにくくなってしまう。

Capitol Hillでは相も変わらず、予測市場を禁止、規制することを目的としたさまざまな法案にあふれ、かつ再度連邦議会で予測市場に関する公聴会が開催される模様だ。
何か対応策を講ずべきという声が強くなりつつあるのは確かなようだ。
7月15日に、超党派で面白い法案が上程されることになった。
「子供たちを保護するための顔認証法案(Face Recognition to protect children act)」というものだ。
これはオンラインでの予測市場契約取引やオンラインスポーツブック参加に際し、顔認証を通じ、年齢確認を行うことを事業者に義務化し、未成年が安易な形でこれら行為に参加できなくようにするというものだ。
未成年者によるオンライン賭博への参加は米国でも深刻な状況になりつつある。
一部公表調査によると、14歳~17歳の未成年の40%がかかる賭博行為に参加した経験があるというくらいだ。
親のクレジットカードの番号を知ってしまえば、確かに如何なる未成年でもアクセスできてしまう。
発想は適切なのだが、法案にKalshiの創設者も賛同しており、効果的な仕組みになるか否かに関しては、若干疑問符も残る。
仕組みとしては個人を特定できる情報やバイオメトリックス情報は保存せず、アカウント登録や賭け金行為に際し、確認する顔のストラクチャーやパターン認識により、顧客の年齢を推定し、未成年を排除するというものらしい。
こうなると顔認証とはいえず、年齢をシステム的に推定する手段にすぎなくなる。
果たしてこの構図は機能するのだろうか。
本人確認を確実に履行しなければ、問題は解決できまい。
時間の問題で詳細が開示されるだろうが、現段階の情報だけではうまくいくか否かは疑問だ。
尚、顔認証に関しては既存のオンラインスポーツブック事業者も勘定開設時点で、写真付き身分証明書と申請者本人の顔情報を登録させ、位置情報により本人が適切な州の住民かを確認するという本人確認のステップをとっている。
パスキーの代替的な機能を付与しているケースもあるが、いずれも毎回のアクセスや賭け金行動毎に、顔認証手順をとっているわけではない。
確かにこうなると子供が親になりかわってもわからないということになる。

顧客が勘定を設ける際に、顔写真付き公的な証明書の確認とともに、顔認証技術を用い、以後、賭け金行動の際に顔認証の確認手順をとるいことは現在の技術では顧客に負担の無い形でスムースに実現できる。
確実に未成年者を排除できる技術はあるのだが、なかなかこれができないのは、個人情報をネットに委ねることへの忌避感が如何なる国でも強いという事情があるからだ。
但し、解決策がない技術的問題ではない。
時間の問題でより合理的な本人確認、年齢確認の仕組みができるに違いないと思われる。

(美原 融)

Powered by WordPress & BizVektor Theme by Vektor,Inc. technology.
Top