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2022-07-18

166.オンライン賭博:未成年アクセスはどう規制する?

インターネットは老若男女如何なる人でも、自由にアクセスできるツールでもある。
未成年や学生でも、勉学に利活用できると共に、コミュニケーションや生活に有用で、更には遊びにも使える便利な道具でもある。
スマホを用い、様々なゲームや遊びを楽しむ若い世代も多い。
彼らにとってみればオンライン賭博もゲームと同様な一つの遊びに近いと映るかもしれない。
初心者にはゲームの遊び方やルール等を懇切丁寧に説明する画面すらある。
最初は無料体験ができるというサイトも多い。
こうなると違法なサイトとは知らずに中に入ってしまうということもあるかもしれない。
未成年であるならばさすがにクレジットカードはもっていないが、高校生以上となると小遣いやバイト代をためる銀行口座や電子マネーアカウントは使えるだろうし、親の目を盗み、ここからスマホを用い、ネットバンキングで送金したり、電子マネーに交換し、これを利用したりすれば恐らく何の制限もなく賭博を遊ぶアカウントを設けることができる。
その際、年齢、生年月日や住所や連絡先等の個人情報を登録する必要はあるが、偽情報であっても形式的に申告要件が満たされていれば海外事業者はそれ以上はチェックしないはずだ。
クレジットカードのみが決済の主流であった時代には、さすがに未成年はクレジットカードをもっていないが、親の番号を盗み見れば、単純に賭博行為ができるのではということが問題になっていた。
ところが電子マネーや電子決済の発展は、決済手法の多様化、簡便化をもたらし、中学・高校レベルの知識・能力があり、スマホさえあれば、ちょっと知恵を働かせば、自由に賭博サイトへアクセスし、遊ぶことができる環境をもたらしているといえる。

賭博行為に未成年が参加すること等問題外とするのが我が国の制度の基本でもあり、これは諸外国でも同様だろう。
一方、制度では絶対ダメでも、現実世界に全く法規制の網に引っかからず、野放図に未成年が自由にアクセスできる好ましくないサイトが存在していることは大きな問題だ。
さわさりながら問題だ、問題だと叫んだ所で、何もしなければ問題は解決しない。
親が子供にスマホやコンピュータを買い与える時、有害サイトへのアクセスをブロックする自己プロテクトを設定できる。
ユーザー側がアクセスしない権利を行使するようなものだ。
但し、これが機能するのはせいぜい小学校生迄であって、設定等は何とでも変えられることを知っている子供達には機能しない。
国やプロバイダーの業界団体が、子供たちに有害なサイトや違法サイトを見つけ次第、自主的にブロックし、子供たちがアクセスしようにもアクセスできるサイトが無いという状況を創出することは一定の効果はある。
供給サイドに制限をかけるわけだ。
但し、これは制度的に関係者の義務とするのか、あるいは制度ではなく単に自主努力を促したり、協力を要請したりするだけなのか次第では効果のほども自ずから異なってくる。
未成年者を排除するために一番効果的なのはやはり、入り口で本人確認を実行し、未成年者をこの時点で捕捉し、徹底的に排除することに尽きる。
もっともグレーな存在の外国ネット賭博事業者に対し、これを要求することはできないし、協力要請した所で無視されるだけだ。
ところでIR整備法に規定された本人確認はここまでするのかという位に厳格すぎる手法で本人確認をマイナンバーカードを利用し、毎回入退出時点で確認を要求する。
これも一つの考え方であるとはいえ、過剰反応の側面があることは疑いない。
2018年犯罪収益移転防止法改正により、eKYC(electronic know your customer)というオンライン本人確認が認められるようになったが、ポピュラーなのは本人画像をリアルタイムで送信し、写真付き公的証明書をその場で写真にとり送信する手法だ。
不思議なのは免許証にはICチップが入っているのにこれを使わず、わざわざ写真をとるというアナログ手法を使ったり、一端処理してしまうと二回目以降は本人確認をしなかったりする場合が多い。
これで馬券や宝くじも買えるのだが、あちこちにループホールがありそうだ。
カードのICチップを毎回チェックするというのはやりすぎかもしれないが、二回目以降はアクセス時点で自動的に顔写真認証でサイトにアクセスできるようにすれば、顧客に負担をかけない方法で本人確認を実施し、当初認証した以外の第三者が成り済ますことは絶対にできなくなる。
例え子供が親の情報を盗んでアクセスしようとしても、顔認証で確実にひっかかってしまうわけだ。
一部の欧州諸国ではやはり最初のアカウント登録の際、多少顧客には面倒だが、かかる手法を用い、本人が確実に成人であること、一端登録し、確認した以外の人物がサイトにアクセスできないように完璧なシステムを設けている様だ。
IR整備法のような過剰な本人確認は要求しないが、現在ある技術の組み合わせで、確実に未成年を有害サイトから排除できるシステムや手法はあるということになる。
勿論この考え方は、自国の枠組みという極めてクローズドな環境の下で、限定的にネット賭博を認め、この枠組みの中で厳格な規制と取り締まりを実施するという考えに立脚している。
サイバー世界は現代の技術では、受け身的に防御することしかコントロールできる手法がないのだ。

昔「ダメなものは駄目」と論理ではなく、感情で押し切る代議士がいた。
ネット賭博の問題も絶対禁止、こんなものは絶対ダメ等と主張したところで、排除できる術がないことは上記でみてきた通りだ。
技術的、法的に対応できにくい世界が既に我々の生活を取り囲んでいる。
これがサイバー世界の現実だ。
考えるべきはこの環境を認識しつつも、ではどうしたら子供たちを守ることができるかを熟慮することではないのか。

(美原 融)

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