2026-09-28
381.ゲームと賭博⑮:Free to Play (F2P) Sweepstake Casino⑦ルイジアナ騒動
Sweepstakeカジノはその法的位置づけが不明確であったため、様々な議論を呼び起こした。
2025年以降、一部の州では議会でこれを明確に定義し、禁止の対象とする法案を策定するという動きが生じてきたのは既に述べた通りだ。
様々なオンラインプラットフォームによる賭博類似的な行為や海外違法オンライン事業者等が跋扈し始めているという状況が、これらを明確に違法と定義しようとする動きをドライブしたことになる。
ルイジアナ州でもかかる議論が起こり、2025年議会で上院法案181号(Sweepstake Casino等禁止法案)として、禁止法案が上程され、会期末に満場一致で可決された。
知事の著名により法律として実現するはずであったのだが、何とLandry州知事は拒否権を行使し、この法案は廃案となってしまった。
知事は法案の趣旨に反対したわけではない。
既にルイジアナ州の現行法規でも、Sweepstake Casino等の一部オンラインの賭博類似的行為は違法、摘発も法の執行も可能で、今更新たな制度を設ける必要等ない、不要というものだ。
屋上屋を重ねる新たな制度等必要無いとしたわけである。
こんな拒否権の発動もあるのかといった所だが、こうなると議会における時間をかけた議論は一体何であったのかということになりかねない。
面白いのは、この知事決断後、間髪を置かず、同州の法執行機関であるルイジアナ州ゲーミング管理局(Louisiana Gaming Control Board, LGCB)並びにルイジアナ州の賭博規制機関である州ゲーミング委員会(Louisiana Gaming Commission, LGC)は何と42の違法オンライン事業者や疑似類似賭博事業者ともいえるSweepstake Caino運営事業者に対し、事業停止・退出命令(C&D Order)を発出したことだ。
現行法規でも違法行為とみなされれば摘発も法の執行も可能という知事判断があった以上、即刻行動を起こしたということだろう。
勿論短時間の間にかかることができるわけがなく、周到な準備をしたうえでサイトを特定し、証拠を固めてきたに違いない。
この2週間後の2025年7月2日に、今度は州司法長官Liz Murrillが別の行動にでる。
州上院議員の質問要請に基づく返答として、書面による法的見解(Legal Opinion)を公表したものだ。
他州の判例や州法等を参照し、オンラインを通じて提供される二つのコインを用いるSwee-stake Casinoは違法であり、既存の州法の枠組みでも規制と摘発、法の執行は可能という内容になる。
勿論これも知事の発言や州規制機関の行動とも連動した動きなのだろう。
Sweepstake Casinoとはカジノであることを隠す欺瞞でしかないということになるが、司法長官は下記の要素を違法とする根拠として列挙している。
即ち、①消費する金銭とSweepstakeの参加に消費する金銭との高い相関性(金銭とSweepstakeコインとの関係が1対1であるという事実はGoldコインとは、Sweepコインを買うための単なるカバーでしかないと断言している。
確かに、Goldコインを買うための金銭支出に伴い、1対1でSweepコインがおまけにつくのだが、誰もがGoldコインで無料のゲーム等せず、使われずに貯まることになる。
勿論これは無価値だからだ)、②サイトの環境や雰囲気はあたかもカジノのようなスタイルに意図的に統一されている(顧客の錯覚を招く効果がある)、③ゲーム自体はエンドレスの持続性があること(もしこれが単なるプロモーションであるならば、当然提供される期間は限定されるのが通例だが、これはそうではない)、④高いペイアウト率(カジノと同様の高いペイアウト率を提供している。
もしプロモーションであるとしたならば、賞金や賞品の価値は限りなく低いことが通例)、⑤できる限り長い時間遊ばせるために、単純に現金償還できないように一定の制約を設けていること等だ。
これらは全て賭博行為であることをごまかすための方便でしかないということになる。
極めて合理的、かつ説得力のある説明だ。
2025年9月になり、州司法長官はSweepstake Casinoの大手事業者であるVGW社とMW Service社を法廷で訴追するという行動をとった。
容疑は何と$44Mの州販売使用税(Sales & Use Tax)未納という。
事業者が販売した仮想通貨は州法に基づき販売使用税の対象になり、これを支払っていないという理屈で未納税+延滞金利の支払いを求めるものだ。
どう考えても別件として嫌がらせ訴追をしたようにも思える。
税法を根拠に違法事業者の退出を迫るという新たな戦略だ。
これでは事業者もビビる。
かかる事態が引き金となり、2025年末以降ルイジアナ州から自主的に撤退する事業者もでてきたのが実態である。
時間と金がかかる法廷闘争を回避し、当該州でのビジネスはあきらめ、他の州でのビジネスに専念するということだろう。
2026年になり、州議会は、より厳しい内容の改正案としてのSweepstake Casino禁止法案(AB883号並びにHB48号)を審議・可決した。
AB883 号はオンライン・コンピューターを通じた賭博行為の定義を拡大し、Sweepstake Casinoを明確にオンライン賭博とし、禁止対象とする法案になる。
違反者に対しては最大10万㌦の罰金、最長5年の禁固刑だ。
付帯的に審議されたHB48号は違法オンライン賭博を組織犯罪と判断し、厳罰(罰金100万㌦、最長50年の禁固刑)を課すというもので、全米でもっとも重い制裁措置になる。
Landry知事は、今度は「より緻密で、妥当な内容」と評価し、2026年8月1日に著名し、オンライン賭博禁止の枠組み(Act182 とAct46 )が成立した。
全く、すったもんだの挙句の結果がこれだ。
これにより、同州から殆ど全ての事業者が撤退ということになった。
もっとも海外から違法に提供している一部事業者はどう対応するかは不明だ。
同州に焦点をあててネット上運営を展開しているわけではく、州民がプラットフォームにアクセス出来れば、勝手に遊んでしまうことになり、法の執行も単純ではなくなるからだ。
(美原 融)