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2026-09-07

378.ゲームと賭博⑭:Free to Play (F2P) Sweepstake Casino⑥カリフォルニア騒動

カリフォルニア州ではSweepstake Casinoを禁止する法案(AB831号)が2025年7月に上院の公共安全委員会で6対0で可決、本会議でも満場一致で可決し、一部修正があったため、下院での確認が必要となり、会期末となる9月12日に下院で法案が可決。
知事は10月11日に著名し、法として成立した。
2026年1月1日から施行されている。
この法律は当初は部族カジノ関連法の改正案で単なる手続法だったのだが、途中から内容を入れ替え、Sweepstake Casinoを提供するネット上のプラットフォームを全面的に禁止する内容へと変容されてしまった。
Gut & Amendと呼称するカリフォルニア州独自の立法手法で。
法案の枠組みだけを残し、全く異なる法律案に変えてしまうことをいう。
こんなことが許されるのかとも思うが、カリフォルニア州では政治的駆け引きや会期末での時間切れ、迅速審議の必要性等が背景にある場合、何と手順を短くし、法案を可決させる手法として用いられている。
この法の実態は賭博行為に関するBusiness & Professional Code 17539.1 条の改定、州刑法典に737条としての追加になり、違法となるSweepstake Casinoを明確に定義し、ネット上の主宰者、提供する事業者・協力事業者、(ソフトウエアやシステム、プラットフォーム等の)サプライヤー、支払い手順代行者(Payment processor)、アクセスする顧客の地点をチェックする地点情報提供事業者(Geolocation Provider)迄が広範囲の義務客体になり、彼らが違法行為に関与した場合、刑法上の厳罰の対象になる。
単純な禁止、事業者の罰則規定だけではなく、Sweepstake Casinoに関わりうる様々なエコシステム全体の関係者の全てを規制対象にするもので、極めて対象が幅広いことが特徴だ。
このインパクトは大きい。
例えば海外事業者に対しては、法を執行することは難しいのだが、直接的間接的な幇助行為があり始めてネットでの提供が可能になる。
米国内に存在するこれら事業者を網羅的に摘発の対象にしてしまえば、海外事業者も効果的なオンラインによる提供はできなくなる。
この結果市場から撤退する事業者もでてくることは確実だ。
一方、これでは過剰に幅広い分野の規制になってしまい、本来合法的な事業を担っている関連事業者もが犯罪責任を負わされかねないとして様々な主体からの反対運動が生じていたのも事実となる。
米国Sweepstake Casino市場は$143億㌦で内カリフォルニアは$24億㌦をしめる巨大市場だ。
この影響は大きい。

この法案に対しては、当初から賛成、反対いずれもが強力な勢力を従えていた。
賛成の立場をとったのはカルフォルニア州にある原住民部族の業界団体のCNIGA(California Nations Indian Gaming Association) と大手スポーツブック事業者が参加する業界団体であるSport Betting Allianceだ。
あまり仲が良いとも思われないこの二つの業界団体が同じ行動をとったのは、賭博なのかゲームなのかが曖昧なゲームが存在していること自体が競合相手となり、明らかに彼らの商圏とビジネスに対する侵害でしかないからだ。
当然ながら、既存のSweepstake Casino事業者の業界団体であるSPGA(Social & Promotional Games Association)は反対の立場をとった。
反対派の論拠は、これらゲームはカリフォルニア州において過去10年以上も存在し、何ら問題も生じていない。
他の州でも同様ではないかというものだ。
州毎に法の解釈や判断が違うことが混乱を招いていることは事実だ。
法の施行が今後如何なる効果をもたらすかはまだ見えないが、デジタルゲーミングの世界が大きく変わりうるきっかけになるかもしれない。

上記とは直接関係ないが、関連する動きとしてはカリフォルニア州司法長官Rob Bontaが州下院議員の要請に応じ賭博かゲームか過去常に議論の対象となっていたファンタジースポーツ(Fantasy Sport)は州刑法違反という133ページの見解を提出し、公表した。
Fantasy Sportも一種のスキルのゲームとして規制の対象にはなってはいないが、極めて賭博に近くグレーな領域にあることは事実だ。
規制の対象となっていない賭博に近い類似的行為は、明確な賭博行為とこれを再定義し、摘発の対象にしようというのが州司法省の見解になる。
Sweepstakeは法律上違法と定義されたのだが、類似的なゲームをも狙い撃ちにするということだ。
上記見解公表後、インタビューに応じた司法長官は、刑法に違反する賭博、賭博類似行為に関する法の執行は今後確実に行うと言明しており、今後何が起こるかわからない。
もっとも現カリフォルニア州ニューサム知事は厳格すぎる司法長官の考えには個人的には反対とし、議論が今後詰まることを期待している模様だ。
単純でないのは州内の利害関係者(部族やカードルーム事業者等既存の賭博事業者)は全てこれらオンラインの賭博行為や賭博類似行為には全て反対で、この動きは必ずしも無視できない。

さらにややこしい事情が発生したのは、2025年8月27日にロサンゼルス市司法長官(City Attorney’s Office)が、州不公正取引法(UCL), 虚偽広告法(FAC)違反容疑で、Sweepstake事業者Stake.US及び子会社プラットフォームのKick、その株主、支払い関連幇助主体、システムや技術・オンラインソフトを提供している欧州スエーデン上場企業であるEvolution AB, Hacksaw ABを州高等裁判所に民事訴訟として提訴したことだ。
市は違法賭博摘発の権限はないが、消費者保護に関しては法執行権限を保持しており、州民に違法な形でサービスを提供したとして事業停止並びに巨額の罰金刑を要求している。
これまでソフトウエアを提供していた欧州企業等は影に隠れていたのだが、表に引き出され、訴訟の対象にされてしまったわけで、類似的な行為が広まれば、かなりのインパクトをもたらしかねない。
既に訴訟の対象となった欧州企業の株はこの結果下落している。
内部の仕組みを支えてきた一部のシステム事業者や協力事業者は委縮し、この中にはカリフォルニア州からの撤退を表明する企業もでてくる有様で、大手サプライヤーであったPragmatic Play社等はこれを機に米国企業への免許を停止し、全米市場からの撤退を表明した。
危ない市場には近づかないということなのだろう。
2026年の現在も訴訟は継続している。
混乱はまだ続きそうである。

(美原 融)

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