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2026-08-24

376.ゲームと賭博⑬:F2P Sweepstake Casinoの新類型?Card Crush

ゲームの世界では一つのゲームが制度上禁止の対象となったり、違法行為が危ぶまれる曖昧な環境にあったりする場合、法のループホールみたいな形で、似たようなゲームだが少し形式や遊び方を変えることにより別のものとして市場に提供することが多い。
何が違法か、違法でないのか、ゲ―ムなのか、賭博なのか等の判断基準が必ずしも明確でない場合、かかる行為が起こる。
米国のニューヨーク州、カリフォルニア州では二つの通貨を利用し、巧妙に無料ゲームを賭博へと誘導するゲームとしてのSweepstake Casinoを禁止する法律が成立している。
Sweepstakeとは入口は無料、二種類の通貨(コイン)を用い、無料のゲームと賭博のゲームを並列することにより、限りなく賭博から遠ざけるというゲームだったのだが、賭博の偽装ではないかと断定されたことになる。
ところがこのゲームが禁止の対象となったニューヨーク州、カリフォルニア州でどう考えてもSweepstake Casinoを変容したと考えられる類似ゲームが新たに登場している。

これはCard Crushという一種のRPG(Role Playing Game ロールプレイゲーム)の要素を取り入れたカード収集&バトルゲームだ。
顧客は様々な固有の能力があるキャラクター(ヒーロー、モンスター等)をカードとして収集し、5枚カードを一つのデッキとして、これで他のプレーヤーと戦うことになる。
ゲームに勝てば強くなれる。
ゲームを通じてキャラクターの成長を楽しんだり、スキルの習得、ストーリーの進行等をも楽しんだりすることもできる。
レアカードを引くためのポジションやアイテム等もある。
尚、勝つと Loyalty Club Point と呼ばれるポイントを獲得できる。
ポイントがたまると、カードがより強力になり、このポイントでMystery Boxを購入でき、この中にあるMystery Coinを入手できる。
このCoinはプロバイダーが提供する別のサイトのゲームで利用することができ、勝てば賞品は現金化できるというしかけだ。
尚このサイトを下にスクロールダウンしていくと、オンラインスロットやテーブルゲームのサイトに誘導できるような仕掛けも存在する。
運も戦略も必要となるゲームだが、複数ステップをとりながら、コインを利用し、ゲームから賭博へと誘導する仕組みになり、この仕組みはどう考えても怪しすぎる。
表は確かにロールプレイングゲームなのだが、やっていくとコインを取得できるようになり、最終的には賞品の現金交換へと繋がるようになっている。
このゲームを提供しているのはマン島に登録されているVision NL Ltdという企業だがこれもどう考えてもまともな企業ではなく、裏に如何なる企業がいるのかは不明だ。
米国ではSweepstake禁止法が成立した二つの州から提供し始めたというのも極めて挑戦的だ。
規制当局の動きや考え方をチェックするために意図的にこれら州で始めたのかもしれない。
オンラインの世界ではソフトウエアを少し変えるだけで、違ったゲームという体裁を整えられるケースが多い。
ネット上で大々的に新たなゲーム、合法等と宣伝されれば、立ちどころに顧客を集めることができる。
ネットの世界とはそういうものなのだ。

Sweepstake Casinoの問題は①無料のゲームの世界と賭博ゲームの世界が表向きは分かれていること、②二つのゲーム内コイン(通貨)を用い、無料、有料の在り方を微妙に使い分けていること、③これは合法といえるのか、違法なのかは単純に断定できないグレーゾーンにあること等になる。
ならば問題とされている側面を逸脱した新たなゲームを提供できうればいいではないかという論理がループホールの根底にある。
要はゲームと賞品としての換金行為の距離をできる限り遠くする、段階的に構成することで、リンケージは限りなく薄くなることになる。
但し顧客が遊ぶことではなく、現金の獲得を目指して行動するという倒錯した状況が生まれればこの前提は崩れる。

ところでゲームの世界では、曖昧な状況から法のループホールを見つけるという事象は国の境界を越えて模倣される傾向にある。
我が国でも類似的事象は過去から散見されていたにも拘らず、2025年末になり、突如ゲームとしてのカジノやポーカー大会等における商品や報酬の在り方が現金への換金行為に繋がっているのではと突如マスコミと警察当局が騒ぎ出した。
勿論これは目に余るとした警察当局のやらせだろう。
問題となったのはこれらカジノゲームやポーカー大会での褒賞や賞品がデジタルコインとして提供され、主催者がこれを顧客のために保管したり(違法行為)、このコインが他のゲーム等に利用でき、かつ最終的にその報酬が現金化できたりする仕組みを間接に提供したことにある。
勿論これは明らかに違法行為だ。
但し、日本ではパチンコの三店方式のように、一見換金価値があるように思えない特殊景品を提供し、場外の古物商がこれを買い取り、現金化することが、「一見非合法とはいえない」と警察当局が解釈してきた国だ。
新たなゲームを単純に合法か非合法化と断定できにくい警察当局の事情がここにある。
米国のSweepstake Casinoと同様に複数のデジタルコインを利用したり、三店方式と同様に第三者を介在させたりして、一見合法的に見せる仕組みが日本でも横行することは目に見えていたともいえる。
パチンコの三店方式は一概には違法とは言えないと主張したことで、類似的なカジノゲームやポーカー大会の仕組みも単純に違法とは言えない状況に追い込まれてきたとみる。
「違法となる恐れがある」として威嚇し、やめさせる方向に指導することは適切な行政行為とも思えない。
おそらくこれでは類似的な行為が頻発してくるに違いない。
曖昧な状況が継続する限り、限りなく違法行為は違法とは言えず、継続できる状況が続くからだ。
これを違法と断定する場合、ではパチンコの三店方式は違法ではないのかという議論に集結するのではないかと思える。
法的に曖昧なゲームのスタンスは長く続くわけがない。
パチンコ業もその在り方や制度上の整合性を明確に法的に定める時期に来ているのかもしれない。

(美原 融)

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