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2024-08-05

272.賭博依存症② 水原元通訳はほんとに依存症?

「私は賭博依存症」、「スポーツブックでは一回も勝ったことはない」、「野球賭博は絶対していない」、「やったのはサッカー、バスケ、アメフトの賭け」とは水原元通訳が韓国でチームメートに初めて告白した際の発言であり、記憶されている方も多いだろう。
全てはここから始まり、水原元通訳は賭博依存症、賭博にのめりこみ、ついつい大谷選手の金迄勝手に使ってしまったという話になる。
但し、そもそもこれら発言は真実の吐露に違いない等と思い込んでいるのは日本人だけだ。
全て言い逃れで自分の立場を少しでも良くみせようとすればかかる釈明になると考えるのが通常の米国人の発想だ。
事がばれ、犯罪が明るみになる場合、どう罪状を軽くさせるかを考えることが犯罪人の常道でもある。
この事案は水原被告は反論等一切せず、罪を認め、公判をさけて判決となるのだろう。

検察官による供述宣誓書にあった一回の賭け金最低$10というのは微笑ましいが、おそらく最初の賭け金で、これはまともな人間の行動だ。
これが一回の賭け金16万㌦に膨らんだことになる。
元金はいらず、全てクレジットで処理し、勝てば勝ち金は貯まり、自分の勘定から送金・現金化できるが、負ければ借金は増える。
負けと借金が大きくなれば、何とかこれを取り戻そうという衝動が起きてしまうから、当然段々高い金額を賭けるようになってしまう。
それでも最終的な帳尻は$142万㌦儲けて、$182万㌦損したとある。
「一回も勝ったことはない」などはとんでもない嘘で、そこそこのレベルで勝ち負けを繰り返していたのだろう。
帳尻が合えば、違法行為とはいえ、ばれなければいいだけの話で、全て個人の問題でしかない。
ところが賭け金単価が高くなり、何らかの都合で負けが続けば、借金はたちどころに巨額の金額になってしまう。
こうなると違法ブッキーが執拗に返済を督促してくる。
この際、違法ブッキーが、大金持ちが隣にいるのだから短期間借りればいいだけではないかと囁いたとしてもおかしくはない。
あるいは水原元通訳自身が大谷選手との関係を担保としてクレジットの上限をあげさせ、賭けを続けたのかもしれない。
あるいは水原元通訳が太谷選手の資金を管理する立場にあること違法ブッキーが知っていたのだろう。
だからこそ大谷が車を買ったという名目で費用を引き出し、送金しろとか、リース料の支払という名目ならば単純にはばれない等と悪知恵を囁いたのかもしれない。
他の手法もないため、かかる悪事のささやきについついのってしまったというのが本質かもしれない。
「大谷選手は目の前にいる。
お前がどこにいるのか彼に聞いてもよいのか」という違法ブッキーの脅しは、全ての裏を知った上での発言以外の何物でもないのではないのか。
脅せば水谷は大谷選手の金に手を付けると知っていたのだ。
こうなると違法ブッキーは犯罪に加担したことになるのだが、おそらく誰も何も口にしないだろう。
皆が黙っていれば犯罪の立証等できないからだ。

「野球賭博は絶対やっていはいない」という釈明は過去も現在も全ての違法賭博に関わったMLBやマイナーリーグの選手・監督・関係者がまず最初に発言する釈明だ。
「やった」とでもいえば即座に調査・制裁の対象となり、球界から永久追放ということになることは誰もが百も承知だからだ。
違法賭博への参加はカリフォルニア州では軽犯罪(Misdemeanor)でしかない。
立証が難しいから滅多に起訴されることはないし、起訴されても所詮微罪に過ぎない。
一方スポーツリーグによる制裁は犯罪ではないのだが、永久追放にでもなればスポーツ選手あるいはスポーツ関係者としての生命は立たれてしまう。
こちらの方が影響は大きいため誰もが「野球賭博はやっていない」と釈明することになる。
但し、考えてもみて欲しい。
これはまともなスポーツブックではなく、闇違法賭博だ。
誰にもばれない、裏でこそこそやるのだ。
この場合、様々な情報をもって自分が賭けで確実に有利になり、確実に勝てそうなのは自分が良く知っている野球賭博しかない。
勿論自分のチーム、まだ誰も知らない内部情報等を悪用して賭ける場合、これは明確に犯罪行為となってしまう。
但し、自分と闇ブッキーが野球はやっていないと言い張り、証拠さえなければ、犯罪は単純には成立しなくなる。
かつ借金を返すために大金を張るのによく知らないスポーツに賭ける等通常はあり得ないではないか。
よく知っている野球賭博に賭け、勝てば、借金は返済できるかもしれないのだ。
これに闇ブッキーが悪乗りするケースもあるだろうし、逆に情報だけ提供し、金だけとるということも十分ありうる。
闇ブッキーは犯罪組織の末端だろうから、こんなことは当然やっているとみるのが米国では常識的判断になる。
こうなると明らかに犯罪、かつ重罪だ。

水原元通訳が大谷選手の口座から引き出したのは最初が2011年11月で4万㌦だ。
その後2012年2月より10月の間に毎回3万㌦から5万㌦、都合37回引き出し、その後2024年月迄に3回、125万㌦を引き出している。
これだけの回数となると殆ど毎週8ケ月間に亘り、大金を送金していたことになる。
金銭感覚はマヒし、自制心も働かず、目の前にある他人の金を自分の金と思い込んで使ってしまったのだろうが、尋常な行動ではない。
あるいは大谷選手と自分を精神的に同一視してしまい、大谷選手の成功も自分の成功、少し位かってに金を使っても、後から賭博で勝ったら返せばいいという屈折した精神状態にあったのかもしれない。
資金の使途も賭博だけではなく、巨額の野球カード購入や自分の歯科治療代にも使ってしまっている。
これでは「私は賭博依存症」という弁明も釈明にならないのではないか。
単なる「病気」として説明がつく事象ではない。
最初の段階でのめりこんだときはギャンブル障害的な精神的状況にあったのだろう。
但しその後の行動は借金返済を脅迫され、賭博にのめりこむしか解決の方法が無く、極限まで他人の金を使ってしまったということなのかもしれない。
これでは本当に医学的な賭博依存症なのかと疑いたくなる。

(美原 融)

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