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2026-07-20

372.オンライン賭博規制:灰色ライセンス付与諸国

オフショア市場(外国)を対象としてオンラインカジノの免許を付与する国は小国、軽課税国等になり、産業的発展もなく、単純に賭博からの税収や免許料を徴収するだけのまともな国ではないことが多い。
これらの国で合法な免許を取得し、合法的な事業者といっても、実質的な廉潔性の検証もなく、資金さえあれば誰もが免許を取得できる体制である国が殆どだ。
しっかりとした規制や制度もなく、名目的な免許を取得できるとなるといかがわしい主体や好ましくない資金がこの分野に参入してくることになる。
市場は規制があろうが無かろうが世界全体だ。
規制が緩く、コストが安ければ、どこの国の免許であろうが、オンラインという手段を通じ、表面的な合法性を保持しながら、世界を相手にビジネスができる。
何しろ自国内サーバー設置義務も、ソフトの検証もなく、別の国のサーバーからサービスを提供することもOKで、対価を得て免許を与えるのみという国すら存在する。
カリブ海や中南米の小国、例えば蘭領キュラソー、英領バージン諸島、ドミニカ、コスタリカ等になる。
これらの国は全て制度や規制が曖昧なグレー(灰色)な国と考えられている。
今では廃止されたが英国2005年賭博法では、一定の規制水準を満たすと英国政府が判断した海外管轄国がWhite listに掲載され、英国向けに広告を出すことが認められた制度(White Jurisdiction)があった(Blackではなく、White。
英国外の賭博事業者が無制限に広告を出すことを防ぎ、利用者保護と犯罪防止を目的としたもの。
その後意味がなくなり、廃止に)。
この部類に属した国としては、英国の王室属領であるマン島(Ile of Man)やオルダニー、英国海外領土のジブラルタル、英連邦の一部であるアンテイグア‣バルブーダ等になる。
これらの国や属領はそれなりの制度や規制の仕組みをもっており、一定の合法性や信頼性を市場から得られているとみられていたが、一部は灰色に近い。
オンライン賭博免許を安価に提供することをビジネスとして導入した他の事例としては、カナダの一部原住民(オンタリオ州カナワケ部族、ブランズウック州トビック族)がある。
連邦・州から独立した自治権を保持し、既存の連邦政府等の法制等は無視し、BtoBとして安価にオンライン賭博免許をサブライセンスするという独自のモデルだ。
事業者規制は殆ど無きに等しく、灰色であることは間違い無い。

但し、時代の趨勢として、法順守を徹底することが一部の国、地域でも求められるようになってきており、顧客年齢確認手続きの徹底化やコンプラの厳格化、あるいは監視の仕組み等を段階的に取り入れようとしている国もでてきたことも事実になる。
蘭領キュラソーはオランダからの強力な圧力により制度を変え、より欧州標準に近い形で規制の仕組みとすることにし、2024年末で既存の免許を全て無効とし、新たな免許を申請させることとした。
この結果、かなりの数の事業者が逃げ出し、規制の緩いグレーな制度の国へ移動したことが知られている。
制度が厳格になるなら逃げたした方がよいというわけで、もともと実態のない企業故、本社を移し、他国で免許を取得するなど費用もあまりかからず、自由にできる。
こういう国には金さえだせばペーパー・カンパニーを作り、規制機関への免許申請等事務手続きを処理してくれる便利な弁護士がごまんといる。
企業の本社は弁護士事務所の住所で、実態は何もない。
看板がかかっているだけというのも多い。

上記に加え、オンラインカジノ免許付与を新たに制度として構築する新規参入(?)国もでてきた。
名前を聞いても一体これはどこにある国?と思う国や地域なのだが、費用は殆どかからず、規制も緩く、審査も簡単、免許も短期間で付与可能といううたい文句でオンライン事業者を競いながら誘致している。
産業も何もない国や地域が生き残る手法として採用したのだろう。
例えば:

  • → アンジョウアン(Anjouan):アフリカ東岸とマダガスカルの間にあるコモロ諸島のコモロ連合の自治島。
    規制機関(AOFA、AGB)は存在するが、免許受付、審査、監督は何と一民間企業が一括代行して行うというおかしな制度だ。
    粗収益課税も付加価値税も無し。
    国外収入も非課税で、安価な年間費用のみだ。
    暗号資産にも対応し、免許は4週間以内に発行できるという。
    何と既に1300社が免許を取得し、2000以上のサイトがあるというから驚きだ。
    フランスLe Monde紙等は、これら全ては虚構と手厳しいが、かなり疑わしいことは間違いない。
  • → ネイビス(Nevis):カリブ海・西インド諸島の英連邦の一部となるネイビス連邦の一部を構成する島。
    オフショアファイナンスで実績はあるが、2025年よりオンライン賭博免許付与を開始し、税はゼロ、年間費用のみ、サブライセンスは禁止。
    事務所設置も不要で、8週間で免許付与という立て付けだ。
    一方、この国は英国、米国、EUへの市場へはアクセス禁止が原則となる。
    この意味ではまともな対応だが、情報も限られ実態は良くわからない。
  • → 東チモール(East Timor):2025年にデジタル貿易特区制度を設け、その枠組みの中でオフショアオンライン賭博免許(BtoB, BtoC)付与を開始、(フィリッピン、カンボジアから追い出され、逃げてきた)中国系資本がダミー会社経由既に市場日参入した。
    もっとも国連薬物犯罪事務所(UNODC)より犯罪ネットワークに利用されているとの指摘を受け、2025年10月突如に既存の免許を廃止、制度の全面停止が公表され、凍結された。
    恐らくASEAN加盟への障害になると判断したのだといわれているが正しい選択だろう。

新規参入国は灰色(Gray)どころか黒(Black)に近い印象を受ける。
安易な形でオフショア向け賭博免許を乱発することは、犯罪組織や反社会的組織が参入しやすい環境を設けることに確実に繋がる。
もっとも、かかる動きは国際的に規制できない。
サイバー世界でのサービス供給でもあり、産業も何もない国・地域にとってはこれが生き残る術なのだからだ。

(美原 融)

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